…それが避けられない運命だとしても抗うべきだった最後まで


爆炎は一気に上がりそして周りには煙が立ち込める。しかしその中でも薄く赤と緑色の光が映し出され煙を突き抜ける。インティストとブラックヴェルンはこの爆発の中でも無傷であった。
「中々手ごわいぜ…だけど俺は負けるつもりは無い!」
コウイチは高らかに声を上げブラックヴェルンに突撃する。
「それならあなたに絶望を与えましょう…斬罪刀、召喚!」
ユイは禍々しい黒い剣を転移させ向かってくるインティストを切り裂こうとする。しかしコウイチはゴッドブライトイージスを転移させ防ごうとする。
「フッ、無駄な足掻きです。神気退散、マンユ・ブギラ…」
禍々しい剣から黒いオーラが放出され盾は一気に真っ二つにされる。間一髪インティスト離れ切り裂かれずに済む。
「何故だ…!?盾が切り裂かれるなんて…」
コウイチは唖然としながらブラッグヴェルンをみつめる。
「当たり前です…神の力の篭っていないただの盾など紙切れに過ぎません」
微笑を浮かべるユイだが目は笑っていない。濁りきった目でコウイチを見据え淡々と喋る。
「これは今まであなたが倒した悪魔達の怨念を込めたもの…もはや神さえ慄き力を振るえないのです。簡単に言えばブラックヴェルンには指1本触れられないのです」
背中に悪寒が走るほどの笑顔で言われコウイチは顔をしかめる。
「悪魔から力を貰い自己の復讐のために力を振るう愚行なんて赦されはしない…貴様を本気で葬るまでだ。神の力はなんびとたりとも屈してはいけないのだから!」
インティストは剣をしまい2丁のライフルを転移させる。片方は肩に担ぎもう片方は地に銃口を向ける。
「フフッ…例え射撃であっても私のブラックヴェルンには傷ひとつ与えられません。」
ユイはコウイチを卑屈した態度を取りながら言葉を告げる。
「ユイ…何事も挑戦ということを忘れたか?」
コウイチは静かに問いかける。
「覚えていますとも…あなたと一緒にいた時期よくそのようなこと喋っていたもの。でもね…もうそんなもの必要ないです。あなたがいなければ!」
ブラックヴェルン背部に着いたキャノンが火を噴く。インティストは軽々とビームをよけ接近し2丁のライフルを撃ちはなつ。しかしブラックヴェルンのフィールドにより妨げられる。それでもコウイチは諦めず各角度から撃ち放つ。しかしどれも効果的なダメージを与えられない。
「お遊びはそこまで行きますよ。絶望の宴へ…デウス・マナフ」
瞬時にインティストの目の前へ躍り出てビーム砲をくらわせ吹き飛ばす。
「ぐあああああっ!!」
コウイチに衝撃が襲う。そして爆炎からブラックヴェルンが姿を現し斬罪刀を振り上げインティストを切り裂こうとする。
インティストは胴体部分が少し破損し衝撃で避けることが出来ないため左肩を向け体当たりする。しかしブラックヴェルンに触れてしまったためまるで強酸をかけられた鉄のように左肩が溶ける。そしてブラックヴェルンは剣を振り下げるがインティストの右の角と右肩を切り裂いた。
ボロボロになりながらも距離をとるインティスト。対するブラックヴェルンは傷ひとつ無い状態。明らかな不利である。しかしそれでもまだコウイチは諦めていなかった。
「最後まで戦い抜いてやるさ…俺はここで倒れるわけにはいかないんだ!」
そしてコウイチは何かに覚醒したように金色のオーラが現れ、目は深紅の瞳と化す。そう彼のヴィギランスモードが発動された。
インティストはボロボロながらも金色に包まれ金色の機体と化す。
「これは俺自身の戦い神や悪魔など関係ない。全力で君を救い出す。」
唖然としているユイをまるで心の奥まで見つめているような瞳でコウイチはブラックヴェルンを見つめた…。

続く