ガンダム00が熱くなってきたのでその勢いに任せて「ウルトラ特撮大戦F」の番外編を。

番外編「ミッションX・戦艦Gを死守せよ!」前編

日本、横浜基地。
とある室内で白い軍服で身を纏い、鼻の下に髭を生やした、50代の中年の男性が窓から整備途中である物を見上げていた。
そこへトントンと扉をノックする音が聞こえ、
「失礼します」
若い30代の男性が入ってくる。その男も黒い軍服を着て軍人らしい背格好だった。
「神宮寺大佐、防衛部隊の配置完了しました。」
男は少し張りのある声で目の前にいる中年の男、神宮寺八郎に用件を伝える。
「そうか、しかし果たしてあの情報は事実か?」
「ええ、上層部はそう判断したみたいです。」
「上層部を頷かせるとは相当確実な情報みたいだな。」
「はい、神宮寺大佐もそろそろシェルターへ退避すべきかと……」
「いや、私は戦艦に搭乗する」
若い軍人は驚きの顔をする。
「し、しかしあの戦艦はまだ調整中です、搭乗しても飛ばせるかどうかも……」
「ああ、分かっているだがあれは地球の防衛を担う艦だ。何かのためにも少ないクルーで搭乗し、備えなければならないのだよ」
神宮寺は窓からその戦艦をみる。その顔は実直で意志の強い眼差し向けている。
「了解しました、指令にもそのようお伝えしておきます」
若い軍人は敬礼をする。
「すまないな、迷惑をかけて」
「いえ、とんでもありません。……それでは私はこれで失礼します。」
若い軍人は扉を開け出ようとした時、
「もうひとつ。あの部隊はこちらに到着してるか?」
神宮寺の言葉に若い軍人は足を止め振り向き、
「あの部隊と申しますと?」
「たった機動兵器1機で作戦遂行する『金色の不死鳥』と呼ばれる部隊のことだよ。」
若い軍人はその言葉で納得し、
「たしか地球統合連邦軍、第5単独偵察攻撃部隊スマッシュですね。あの部隊は他の作戦中だとかでこちらの襲撃予測時間ギリギリで間に合うかどうかです。」
「そうか……」
神宮寺大佐は何かを考えるように視線を下に向ける。
「なぜあの部隊のことを?」
「いや、幾多の作戦をたった1機で行う部隊に興味を抱いただけだ」
「そうですか、すみません、不躾がましい質問をして」
「構わんよ、さて私も……」
神宮寺が席を立とうとしたとき基地で轟音が鳴り響く。そしてあちこちで爆発音が響く。
「敵襲!予測した時刻よりも早い!」
そう、この基地はテロによる襲撃を予測されて厳戒態勢がとられていた。
目標は神宮寺が見ていた戦艦だった。
「神宮寺大佐!ここはひとまずシェルターへ!」
若い軍人が基地を揺さぶる振動に耐え叫ぶ。
「いや、シェルターよりも戦艦に搭乗したほうが早い!君もこっちに乗るんだ!」
神宮寺大佐は振動の響く建物の中で壁をつたい廊下へ出る。その後ろに若い軍人も付いていく。
廊下は蛍光灯が外れ、あちこちに資料の紙や火花が散っている。
そして大きな扉の前へ辿り着き扉を開け目の前に遥かに大きい戦艦の搭乗口に揺れに耐えながらふらふらした足つきで入っていく。


基地の空では戦艦二隻、大型機動兵器2機、数十機のTR(タクティクス・ロボット)が舞い、その中のひとつの黒い機体から一人の男が、通信をしていた。
「第一段階終了。第二段階目標の補足を開始します。」
黒い機体は、一気に降下して地上にいる、軍のTRをビームライフルで撃墜していく。
「……弱すぎる」
と黒い機体に乗るパイロットは次々に機体をビームサーベルで切り裂く。
「目標は50メートル先のあの格納庫か」
黒い機体は背後の2連装ビームキャノンを格納庫へロックオンする。
「第三段階、目標の捕獲、もしくは破壊を開始する、照射!」
黒い機体から一気にビームが放たれ格納庫へ直撃する。
格納庫は爆発して炎上を起こす。
そこで黒い機体に通信が入り、
「バード1、当初の目的は敵艦の確保だ!なぜ撃破した。これでは作戦が水の泡だ!」
テロ部隊戦艦の艦長からだった。
「……何を言ってるんです、戦艦は無傷ですよ」
黒い機体のパイロットは淡々とした口調で告げた。
そして爆炎の上がる跡地から1つの黒い塊が姿を現す。
丸い円形でまるで黒い卵のように。
「どうやら合金製の防壁を用意してたみたいです、ジャングを投入して捕獲を。」
「……了解した、バード1は引き続き敵機を惹き付けを頼む。」
「了解、作戦続行します」
そして黒い機体は敵陣へ向かっていく。

後編へ……