「天上に光を、地平には愛を」
太陽の光が差し込まず、暗雲が立ち込め、雨が土砂降りになる中、一人の青年が膝をつき、満身創痍の様子で項垂れている。
「ぐう…」
青年がうめく中、黒い服装で身を包んだ邪気を放つ男が傍に立つ。
「所詮は人間。どの世界においても自然の摂理には逆らえぬ。」
男は得意げに声を発し相手を威圧している。
「さて、余計なイレギュラーも発生したがここまでだ。我が魔王軍がこの世界を支配する。すべては堕落の世界へと変貌するのだ!」
男の声に周りの兵士たちは高らかに声を上げる。
「いいや違うな…」
「何?」
青年は俯きながらも確かな声で告げる。
「確かに人は堕落する。しかし、何度でも這い上がることができる。目の前に目標が、希望があれば、何度でもな!」
「戯言を、人は堕落することでしか生きていくことができないのだよ。戦乙女どもを見てみろ。彼女たちは既に私の手に堕ちた。そして這い上がることができない。これが真実なのだ。」
「彼女たちは這い上がることができないじゃない、這い上がることすらできないんだ。貴様の呪縛によってな…そして目の前に希望ができたら確実に這い上がるだろう。」
「フン、戯言もそこまでだ。さっさと死ね。」
男は青年の喉に剣を突きようとした。その時だった。どこからともなく男の手にカードが当たり、青年の左横を剣が通り過ぎる。
青年の背後で灰色のオーロラが壁のように立ちはだかり、その中から、一人の青年が現れる。
「門矢…士…」
そこに現れたのは世界を巡る旅を続ける青年、門矢士であった。
士「マスダコウイチ、久しぶりだな。ここが戦乙女の世界か…案外他の世界と変わらないな。」
コウイチ「士が何故ここに来る?この世界はライダーがいない世界だぞ。」
隙を突き男との何とか間合いを取る満身創痍の青年、マスダコウイチは驚きの表情をしながら尋ねる。
士「ああ、頼まれごとをした。最初は断ったが、夏ミカンに行って来いと強制されて仕方なくな」
士は素気ない感じに答える。
士「それに俺はお前が嫌いだ。なりふり構わず己の信じるために貫くところがな。そのためにどんな犠牲も厭わないお前がな…」
コウイチ「ならなぜ助けた?」
士「お前が死んだら悲しむ人がいるからだ。それ以外に何がある?」
少し苛立ったように答える士。
コウイチ「相変わらず素直じゃないな…」
士「何か言ったか!」
コウイチ「いいや、それよりも戦うのか?」
士「ああ、お前だけでこの数と戦うつもりか?」
コウイチ「そのつもりだけど。」
士「大体分かった。俺のこの世界の役割はお前と一緒に戦い、奴を倒すことだ。」
士が指さす先には男が立っていた。
「ふん、人間がいくら増えようと我々魔王軍の前では無力だ。」
コウイチ「それはどうかな?デューク。」
デュークと呼ばれた男は訝しげにコウイチを見る。
コウイチ「人は時にとてつもない力を見せる。それは
大切な何かを守る時でもあり、また、」
士「大事な人を守る時に力が発揮される…だろ」
コウイチと士は互いに笑みを浮かべ、
コウイチ「俺たちはこの世界の光を守るため戦う!それが力の源だ!」
デューク「貴様らは一体何様のつもりだ!」
士「俺は通りすがりの仮面ライダーだ、覚えておけ、そしてこいつは、」
コウイチ「さすらいのヒーローだ、その胸に刻んでおけ。士行くぞ。」
二人は変身ポーズを取る。しかし、
「ちょっと待った!」
その場にいる者全員が声の方向に顔を向ける。崖の上で一人の青年が立っていた。
「僕も参加させてもらうよ。」
士「海東!お前何しに来た?」
海東と呼ばれた青年は嬉しそうに答える。
海東「勿論、お宝をもらいに来たのさ。この世界は神秘的なものがたくさんある。そしてもっとも価値のあるものはあれ。」
海東が指さす先には戦乙女が握っていた剣があった
コウイチ「オーディンの剣か…」
海東「そのとおり。その剣、僕がいただくよ。」
士「勝手にしろ。その代わり俺たちの邪魔をするのはやめろ。」
海東「かまわないさ。君たちは君たちで戦ってくれて構わないよ。」
海東はディエンドライバーを取り出しカードを装填する。
『カメンライド』
電子コールが発し、
「変身!」
ディエンドライバーを高く振り上げ引き金を引き、全身を残像が包み、
『ディエンド!』
仮面ライダーディエンドが現れる。
コウイチ「俺たちも行くぞ!」
士「ああ」
『カメンライド』
『ゴッドチェンジ』
二人のベルトの電子コードが鳴り、
「「変身!!」」
『ディケイド』
『ヴィギランス、ドラスティックフォーム』
二人は仮面ライダーディケイド、ヴィギランス・ドラスティックフォームへと変身する。
そして彼らは敵陣へ歩を進めていく。
ディエンドはディエンドライバーの銃弾を放ちながらカードを取り出す。
「さあ、僕のために道を開けてくれたまえ、兵隊さんたち。」
ディエンドライバーにカードを装填し、
『カメンライド』
銃口を敵陣に向け引き金を引く。
ファイズ』、『ライオトルーパー』
仮面ライダーファイズとライオトルーパー×3が召喚される。
彼らは敵陣へ一気に突入した。
ディケイドとヴィギランスはデュークの向かおうとするが、魔王軍の兵士に阻まれる。
士「ちっ、ならこれならどうだ?」
カードを取り出しベルトに差し込む。
『カメンライド』
「変身!」
『カブト!』
ディケイドは仮面ライダーカブトへと変身する。
そして再びカードを取り出しベルトに差し込む。
『アタックライド、クロックアップ
DCカブトは超加速になり瞬く間に敵を薙ぎ倒していく。
コウイチ「この数だとそれが一番手っ取り早いか。」
コウイチは納得し、ベルトのボタンを押す。
『ゴッドアクセル、スタート』
電子コールと共にヴィギランスもまた超加速に入る。
ディエンド「全くもっとスマートにやらないと。」
ディエンドもカードを取り出し、装填。
『ファイナルフォームライド、ファファファファイズ!』
敵陣で戦ってたファイズは銃形態へと変形し。グリップを握ったディエンドが新しくカードを装填し、
『ファイナルアタックライド、ファファファファイズ!』
電子コールと共に発射。瞬く間に大多数の敵陣を灰へと変えていく。
数分も経たないうちに敵の兵士たちは姿を消した。勝ち目のないとわかり、逃げた者も数多く。
残りは戦乙女とデュークのみだった。
デューク「忌々しいイレギュラーどもめ。戦乙女たちをやつらを塵も残さぬほど消し去れ!」
そうして、戦乙女たちがライダーたちへと挑むのだった。

S.H.フィギュアーツ 仮面ライダーディエンド

S.H.フィギュアーツ 仮面ライダーディエンド

S.H.フィギュアーツ 仮面ライダーディケイド

S.H.フィギュアーツ 仮面ライダーディケイド

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