まずい、”闇”じゃなくて”暗黒”だった。
エロゲあんまやってないないから分からん。

「世界の救世主・リアクト」

天井の絵柄が変わった。
大きな樹が中心に、深緑と古い建物が描かれていた。
それを見た光明が一言呟く。
「戦乙女の世界…」
その一言に優樹は聞き返す。
「戦乙女の世界だって?」
椅子に座り、本を読みながらゆったりしたペースで感情を出さずに答える。
「ああ、神々と魔族が”ミッドガルド”と呼ばれる大地を巡って繰り返し争う世界だ。その中でも魔王軍黒騎士団と戦乙女の戦闘が激化しているそうだ…ただ、」
「ただ?」
優樹も椅子に座り、光明の話をじっと聞く。
「幾人かの戦乙女は捕えられ魔王軍は優勢になってるらしい。」
「つまり、俺のこのファンタジーみたいな世界の役目はそいつらから救えということか?」
「さあな、それは自分自身で探し、自分で決めろ。俺は今回もここで本を読んでる。何かあったら戻って来い。情報も欲しかったらな。」
「おいおい、お前も外に出てこいや!」
優樹は怒鳴り声を上げ、問い詰める。
「何も力を持てってない俺を外に連れ出してどうする?足手まといになるだけだ。ここで優樹の帰りを待っていたほうが楽だ。分かったか?」
「だったらいつになったら外に出てくるんだよ、ひきこもり野郎。」
「ひきこもりとは失礼な。私は外に出ようと思えば出れる。いずれ出る時が来る…いずれな…」
光明の憂う顔に何かを感じ取った優樹は静かに出て行く。
優樹はふと考える。
(光明にも何か悩みを持っているのか?何も考えたことがなかったな…人間味もそれほど見せず、ただ本を読んでるだけの奴だと思ったけどな…違うんだな)
そう思いながら、優樹はマシンリアクターを走らせる。
(しかし…人がいない…)
町の中には人の気配がしない。そして中央の踊り場に差し掛かった時に彼はバイクを止めた。
バイクを止めた先には異常な光景が繰り広げられていた。


世界の救世主・リアクト。いくつもの世界を渡り、その心は何を捉える?
第4話「暗黒の戦乙女」



黒い露出の高い服装をした金髪の美女と、紫の鎧を身に纏った黒髪の美女が観衆の目の前で絡み合う光景だった。
(あの紫の鎧は、戦乙女か?)
優樹はバイクを降り民衆の中をもみ合いになりながらも中央に出てくる。
(公開調教というやつか?…ちっ、いけすかねえな。)


そこで声がかけられる。
「もっと見なさい、そして悦楽に覚えるのよ。」
金髪の美女が乱れながら尋ねる。
俄然、仁王立ちを緩めない優樹。その眼には軽蔑の眼差しが差し込んでいる。
「お前、何者だ?」
「暗黒の戦乙女・レイヤよ」
「暗黒の戦乙女だと!」
こいつも戦乙女なのだと知って驚く優樹。
「さあ楽しみましょう…」
そう言い、手を差し伸べるレイヤ。
しかし、その手をはたく優樹。何故拒んだのかと驚くレイヤ。
「ああ、楽しもうか。戦いでな!」
カードを装填する。
≪HERO RIDE...REACT≫
赤と金色の縁のボディ、青色の複眼を身に纏った戦士へと変身する。


所変わって魔王軍が占拠する城の一室。そこにレイヤと紫の戦乙女が公開調教されてる姿が移しだされ、そこに現れた異質の戦士に驚く男がいた。
「ほお、面白い能力だ。」
椅子に座り余裕の表情でその映像を見ていた男、魔王軍騎士団長デュークであった。
「君の話は本当だったようだ。」
その部屋にはもう一人青年が居座っていた。それは前の世界で攻撃を仕掛けた銀色の髪の青年であった。
「彼は貴方にとって厄介な存在です。なるべく早めに排除をしたほうがよろしいかと」
「ふん、たかが武装しただけの武器頼りの戦士に俺は負けない。」
自信満々に胸を張りながら答えるデューク。
「まあ、貴方のお手を煩わせないように私が何とか始末できるようにしておきましょう。」
「構わん、勝手にしろ。」
「それでは」
そう言い残し、立去ろうとする青年。
「一つだけ聞きたいことがある。」
引き留めるデューク。
「なんでしょう。」
顔だけ振り返り聞き返す青年。
「もしこのミッドガルドを掌握したら次の世界も支配したいと考えている。その時に君は手を貸してくれるか?」
真剣な表情で聞くデューク。
「ええその時が来ればいずれ…後はリアクトを倒すことができれば」
「簡単に蹴散らしてくれる。フッ、楽しみだ…」
そう呟き、映像を見つめるデューク。その場には銀色の青年の姿はすでになかった。


「姿を変えた…面白い。」
1回は驚いたものの、すぐに艶のある笑顔に戻す。
周りには敵兵士が囲み攻撃を仕掛けるが、ギャザーブッカー銃形態で敵達を打ち倒す。
銃声に驚き逃げまどう民衆。
ギャザーブッカーを剣形態に変形させるとレイヤに向かって斬りつける。
しかし、レイヤも剣で受け止める。しかも、かなり剣を自由自在に扱う。
(ちっ、油断した、腰振ってるだけの淫乱女だと思ったが…違う。)
本気を出す、リアクト。攻撃が激化し、敵兵士も割り込んでくる。
「邪魔だ!一気に潰してやる。」
新たなカードを装填する。
≪HERO RIDE...JUSPION≫
赤のラインに銀のボディーを身に纏った、「巨獣特捜ジャスピオン」の世界で魔神サタンゴースと激闘を戦い抜いた戦士である。

「また姿を変えた。だけど…」
素早い攻撃でRジャスピオンを翻弄する。だが、ジャスピオンはかわしながら、すぐにカードを装填する。
≪ATTACK RIDE...BLEAZER BLADE≫
ジャスピオン専用武器、”ブレーザーブレード”を召喚する。
ギャザーブッカー銃形態でレイヤを威嚇し、ブレーザーブレードで攻撃していく。
さすがにレイヤも銃には苦戦を強いられる。
「後は天国で楽しんでいやがれ。」
リアクトはカードを装填。
≪FINAL ATTACK RIDE...JU・JU・JU・JUSPION≫
必殺技、コズミック・ハーレーを炸裂させるRジャスピオン。
その攻撃は一瞬でレイヤを切り裂くはずだった。
しかし、何者かに遮られるが他の場所で爆発し、煙が舞う。


煙が消え失せた時、そこには2人の美女が立っていた。
「全く暗黒になったからって変わらないのでレイヤ。」
青い髪の美女がしとやかな声で言い放つ。
「レイヤお姉さま大丈夫ですか?」
赤い髪のツインテールの美少女が陽気に言う。
フレイヤスクルド!貴方たち、どうして?」
レイヤは驚いた顔をして尋ねる。
「一度退きましょう。デューク様のご指示よそれに…」
フレイヤはレイヤの手を引く。
「そこでへばってるアリーヤを戻さないと。あいつに奪われたらいろいろ後が大変だよ。」
とにぎやかに言うスクルド。そばには紫の鎧を着たアリーヤを起こす。
「おい、そこの年増とロリガキ。貴様らも戦乙女か?」
痺れをきらしたRジャスピオンは攻撃を仕掛ける。だが防壁が張られ、攻撃は効き目がない。
「私たちを侮辱するなんて、」
「後悔するんだね。」
「だから貴様らは戦乙女か聞いてるんだよ!」
しかし、彼女たちはその答えをスルーして帰ってしまった。
「くっそ!」
Rジャスピオンは地団駄を踏む。


「そんなに悔しいなら僕が相手をしてあげましょう。」
彼の後ろから声がして、振り返ると「淫妖蟲」の世界で敵を送り込んだ銀色の髪の青年だった。
「貴様も世界を越えられるのか?」
Rジャスピオンからリアクトに戻りながら尋ねる。
「ああ、これ以上君を野放しにさせたくないからね、さあここが君の墓場だ!」
そういうと青白いオーロラが出現し、三体のモンスターが出現する。
黒い細長い頭をして、異様な体をしたモンスター(エイリアン)と鎧を纏った緑の二足歩行のモンスター(プレデタ―)、そして、舌が長く延び人間の肌に近いが4足歩行で素早く動くモンスター(リッカー)が現れる。
「全く、ファンタジー世界にSFとはごちゃごちゃしやがって。」
ため息をつき、呆れながらも攻撃態勢に入る。
「だがこれだけの強力な敵、君は相手を仕切れるかな…さあ彼の体を切り刻んで食ってしまえ。」
そして三体は一気に攻撃を仕掛けてくる。
2体は俊敏な動きでリアクトを翻弄する。その隙に1体は透明化能力を使い、全く視認できない場所から攻撃を受けるリアクト。三体相手に苦戦するリアクト。
「ハハハ…厄病神にいい末路だ、もう決着はつくね。じゃあ僕はこの辺で…」
青年は青白いオーロラをくぐろうとする。
「俺は!」
攻撃を受け倒れながらも彼は言い放つ。その声に青年は振り向く。
「俺は、救世主だ!救世主はどんな世界でも救う。世界があり続けるまで俺は不死身だ!決して死なない。」
リアクトは言い放つが、青年は不敵な笑みを浮かべながらオーロラをくぐった。
何とか三体の猛攻撃をかわすとカードを装填する。
≪HERO RIDE...BEFIGTER KABUTO
リアクトは「ビーファイターカブト」の世界でメルザード一族と戦った金色のボディを身に纏った戦士、ビーファイターカブトに変身する。
続けてカードを装填する。
≪ATTACK RIDE...KABUTO LANCER≫
ビーファイターカブトの専用武器、カブトランサーを召喚。一気に敵を切り裂く。エイリアンに直撃し、腕を切り落とされる。
続けて攻撃を加えようとするが腕をリッカーの舌で掴まれる。
「邪魔をするな!」
ギャザーブッカーで舌を撃ち込む。2体のモンスターは体の一部を損失し、絶叫し、凶暴化する。
「黙れ、ゲテモノ野郎ども。」
≪FINAL ATTACK RIDE...BE・BE・BE・BEFIGTER KABUTO
カブトランサーを振るう攻撃が2体に炸裂する。爆発を起こし、モンスターは消滅する。
「あと1体、どこにいやが…うあああ!」
どこからともなく攻撃を受けることで敵を定められず押されぎみになっていく。
ついに変身が解けてしまう優樹。膝をついて息遣いを荒くしている。
その背後から止めを刺そうとするプレデタ―。
だが、何十発もの銃弾が飛び交い何発かはプレデタ―に当たる。
呻くプレデタ―。その隙に優樹は間合いを取り、銃弾を撃ち込んだ相手をみる。
そこには無骨な形をした銃を持つ青年がいた。
そしてカードを取り出し、銃に装填する。
≪HERO RIDE...REROUTE≫
紫と銀の縁の色をした戦士がこの世界に訪れ、再び道選びを始めるのだった…


続く。