第5話「女神たちの黄昏」後編

魔王軍の大群の兵士たちに挑む、鎧を身に纏った2人の戦士たち。
何百、何千という数が攻めようとも2人は歩みを止めない。
「はあああっ!!」
「ぐあああ!」
リアクトはギャザーブッカーを剣形態に変え、素早く敵を切り裂いていく。
≪アタックライド…ガトリング≫
リルートはカードを差し込み、リルートドライバーを高速連射モードに切り替え大量の敵を撃ち抜いていく。
2人はまるで一騎当千の如く敵を倒していく。


その光景を見ていたデュークは、
「ええい!何をしている!?たかが2人の人間にてこずるとはそれでも魔王軍の兵士か!」
魔王軍がおされている事実に憤りを感じるデューク。これだけの数がいれば奴らなど簡単に血祭りに上げられると考えていただけに今の状況は予想外だった。魔法も物量攻撃も効かず、悠然とこちらへ向かってくる人間。
それに焦りを感じ始めていた。
「大丈夫ですよ、デューク様。私たちがいます。デューク様の邪魔をする奴らは徹底的に討ち滅ぼします。」
そう言い放ったのは暗黒の戦乙女アリーヤであった。
快楽に落とされた彼女はデュークの虜となり、彼に従うのみの存在と化した。
「フフ、そうですよ。今から私たちが血祭りにあげてきます。」
ヒルデガードも賛同し、2人の戦乙女は今目の前で行われている戦闘に駆けていく。
「はは、そうだ、俺には戦乙女とグングニルがある。決して負けはしない、決して…」
そう不敵に笑みを浮かべるデューク。


次々に敵を薙ぎ払っていくリアクトとリルートだが正直言ってこのまま戦闘を続けては時間がかかる。
ただでさえ後方には戦乙女たちが構えていることは百も承知だ。そのためにもこの大量の雑魚を一気に片付ける、もしくは足止めするしか方法はない。
「となるといろいろ使うしか…!?ぐあああ」
リアクトは次の攻撃を仕掛けようとしたところで死角から攻撃を受ける。
「優樹さん!」
リルートはリアクトに近づき周りの敵を打ち倒し護衛に入る。だがそこに2人の戦乙女が現れ、リルートは動きを止め2人を見つめ、
アリーヤさん…」
黒き鎧に包まれたアリーヤヒルデガルドに敵に寝返ってしまったという虚無感が彼を襲う。
「周希!動きを止めるな!」
いつの間にか立ち上がったリアクトはリルートに喝を入れ、周りの敵を切り裂く。
リルートはハッと意識を戻すと2人の戦乙女に攻撃を加える。
しかし、ヒルデガードの盾により攻撃は効かない。
「向こうから来てくれるなら好都合だ、一気に叩く!」
リアクトはリルートの加勢に入り、2人を切り裂こうとする。だが、
「さっさと失せなさい!」
アリーヤは黒光りする大型の槍、ダークグングニルを構え2人の戦士に攻撃を始める。
あまりに凄まじい威力に吹き飛ぶリアクトとリルート。
「くっ!…骨が折れるぜ、こいつらは!周希お前はデュークを撃て、俺は戦乙女を相手する。」
「えっ、でも…」
「貴様にこいつらと戦うことは酷だ。なら親玉を叩け。いいな!」
リルートは多少ためらいを見せたが、顔を上げうなずく。
そしてリルートはカードをドライバーへ差し込む。
「変身!」
≪ヒーロライド…ゼロ≫
リルートが変身したのは「牙狼」の世界の白銀の魔導騎士、銀牙騎士・絶狼<ゼロ>であった。
続けざまにカードを装填。
≪アタックライド…ギンガ≫
馬のような形をした白銀の輝く体と頭頂部に刃の如く鋭い角を持つ魔導馬が召喚され、すぐにその背中へ乗り込む。
R(リルート)絶狼は敵軍に攻撃しながらも前進していく。そしてデュークのもとへ駆けて行く。
「行かせはしない!!」
アリーヤはダークグングニルを構え攻撃を仕掛けようとするが、
「貴様こそ邪魔すんなよ!」
≪アタックライド…バースト≫
銃撃を加えアリーヤの攻撃を阻止し、近くにいるヒルデガードに蹴りを入れる。
「きゃああ!!」
ヒルデガードは吹き飛ぶがとっさに防御行動に出たためさほどダメージを受けていない。
「貴様の相手はこの俺だ。それに周希にお前らを助けると約束したからな。」
「ほざけ、私たちはデューク様の傍にいるだけで満足だ。」
「それは偽りの想いだ、人を想うということは堕ちて得るものじゃない。自ら突き進んで想うことだ!」
「そんな戯言!」
「聞くものか!」
アリーヤヒルデガードの同時攻撃に滅多打ちにされるリアクト。だが彼はふらつきながらも立ち上がる。
「そういう想いが、愛って言うんだよ!!」
叫びを上げながら、カードを装填する。
「変身ッ!!」
≪ヒーローライド…マジレンジャー
リアクトは「魔法戦隊マジレンジャー」の世界の戦士、マジレッドに変身し、4人のマジレンジャーが召喚される。
「何?」
「召喚しただと!?」
2人の戦乙女はリアクトの能力に驚く。
「驚くのはまだ早いな。」
再びカードを装填するRマジレッド。
≪ヒーローライド…グランセイザー
カードから召喚された戦士たちは何と12人もいた。彼らは「超星神グランセイザー」の世界の戦士たちで、宇宙からの侵略者(宇宙連合 = ウオフ・マナフ)に立ち向かった者たちである。
かなりの人数に驚愕を隠せない戦乙女たち。
「さあ、その偽りの想いから解放してやる。」
≪アタックライド…ジルマ・マジ・マジーネ≫
マジレンジャーの呪文をかけて、Rマジレッドの身体を光が包み吸収していく。
そうして戦士たちは再び戦闘を開始した。
Rマジレッドはギャザーブッカーで引き続き2人の戦乙女の相手をする。
他のマジレンジャーたちは魔王軍の兵士たちを相手し、グランセイザーの戦士たちもまた次々に兵士たちを倒していく。たった2人だけだったのが、17人となり一気に勢力が強まり、魔王軍は押されている。
≪アタックライド…ブレイジング・フレイム≫
Rマジレッドはすかさずカードを装填し、炎の竜巻を吹き上げ、炎の一太刀を繰り出す攻撃、ブレイジング・フレイムをヒルデガードに向ける。
その攻撃を最初は防御していたヒルデガードであったが、盾は砕け、直撃し爆散する。
ヒルデガード!!」
アリーヤが声を上げる。同じ戦乙女を倒され憤りを感じたアリーヤは、
「よくも、ヒルデガードを!」
後ろを向き、それに何も答えず、リアクトヘ元に戻るとカードを差し込む。
≪アタックライド…レイジングハート
リアクトの手にはバトン状の杖が召喚される。その武器は、「魔法少女リリカルなのは」の世界でヒロイン、高町なのはが使う専用デバイスであった。
「これでその槍を粉々に砕いてやる。」
そう言い放つとカードを差し込む。
≪ファイナルアタックライド…な・な・な・なのは≫
リアクトは特大の一撃を放つ集束砲撃魔法・スターライトブレイカーを放つ。アリーヤもダークグングニルで攻撃を放つ。
「神技!リヒトシュトラール・ランツェ!」
掛け声と共に威力が増し、リアクトは押される。
しかし攻撃はほぼ互角。互いに攻撃の手を緩めない。
「ならこれでどうだ!」
≪アタックライド…イリュージョン≫
リアクトは3体に分身して2体が別方向が攻撃を仕掛ける。
アリーヤは攻撃を加えてるため防御ができず、リアクト分身体の直撃してしまい自らの攻撃はそれて、スターライトブレイカー
もろに喰らい爆散するのだった。
リアクトは戦闘が終わり立ちつくす。そして彼の手には3枚のカードが握られた。それを見つめると一枚だけ抜きベルトに差し込む。
≪アタックライド…グングニル
先ほど使っていたアリーヤの武器がさっきまでとは違い神々しく輝き出現しリアクトの手に握られる。
≪ファイナルアタックライド…リ・リ・リ・リアクト≫
グングニルを構えめの間にいる敵を標的にする。
そして一気に最大威力で放つリアクトストライクであっという間に魔王軍兵士を半減する。
その力を目の当たりにし怖気づく敵、そこに隙ができ、マジレンジャーグランセイザーたちは攻撃をしていく。そしてリアクトは今頃死闘を繰り広げているであろうリルートのもとへ向かうのだった。


R絶狼は雑魚を蹴散らしついに魔王軍の城へ辿り着く。しかし、彼の行く手を阻む様に2人の女性が立ち並んでいた。
「ここから先へは行かせないよ、坊や。」
「ガキはとっとと家へ帰んな!」
そこにいたのは超竜騎士団団長、魔族とドラゴンのハーフであるファフニール、半神半魔であるロキが立ちふさがった。
「あなた達こそ邪魔です。倒されたくなければどいてください。」
周希は確固たる意志を持ち彼女らに伝える。その意思はとても強く輝いていた。
「よくも侮辱したな!焼き尽くしてやる!」
ファフニールは翼を広げ飛び立つと周希の言葉に怒り、炎を吐き、R絶狼に攻撃した。

「仕方がありません。突破します!」
しかし、そんな攻撃はものともせず銀牙は勢いよくジャンプし空中にいるファフニールに対峙し、R絶狼はカードを装填する。
≪ファイナルアタックライド…ゼ・ゼ・ゼ・ゼロ≫
二刀を一つに繋げた銀牙銀狼剣が出現し一気にファフニールへ突き出し大爆発が起こる。
「きゃあああああ!!」
断末魔と共にファフニールは爆炎に灰も残らず燃やし尽くされた。
地上に降り立つとリルートへ戻る。
そして次にロキと対峙する。ロキはムチを使い、巧みにリルートを痛めつけていく。しかし、リルートは距離をとりカードを装填、
「変身!」
≪ヒーローライド…リュウガンオー
魔弾戦記リュウケンドー」での魔弾騎士の一人「魔弾銃士リュウガンオー」へ変身する。
そしてゴウリュウガンとリルートドライバーの2丁の銃でロキを威嚇。ムチを跳ね返し、反撃の隙を与えない。攻撃を受け怯むロキにRリュウガンオーはカードを差し込む。
≪ファイナルアタックライド…りゅ・リュ・リュ・リュウガンオー
リュウガンオーの必殺技が放たれあっけなく吹き飛ばされる。しかし、彼女はあれだけの攻撃をくらって生きていた。
「その力、実に面白い。ねえ、私と組まないか。私とならこの世界を掌握できるわ…どう?」
彼女は彼の力に興味を感じ、そしてデュークを裏切り、再び陰で支配のチャンスを窺おうと、傷つきながらもRリュウガンオーへ擦り寄る。
「お断りします。僕はただの旅人ですから…」
そう言い放つと、擦り寄るロキの胸に銃を向け一発撃ち込む。ロキは苦渋の表情を浮かべずるずると地面へ倒れ、息絶えるのだった。そして彼は静かに急いで城へ入るのだった。


「ば、馬鹿な、こんなことがあってたまるか。」
広い一室で驚きの表情を浮かべるデューク。
先ほどの戦いを映像で見ていたが、リアクトの圧倒的な力によって2人の戦乙女が倒された。
そして城の前ではファフニールとロキがリルートの相手をしてこの2人もまた敗れ去った。
一体ただの人間にあれほどの力があるのか彼は慄いた。
もうじき奴らが来る。だが俺が奴らを倒せばこの世界を支配できる。こうなれば切り札を使うしかない。そう彼は考えていた。
その時扉が打ち破られる。
そこに立っていたのはRリュウガンオーであった。
「暗黒騎士団団長デューク。貴方の野望もここまでです。即刻降伏をしてください。これ以上無駄な血を流さないためにも…」
「無駄な血だと!?」
「ええ、神族だから、魔族だからと言って殺しあうのは間違っています。どうしてあなたは争いを選ぶんですか?」
「貴様に説教される筋合いはない!俺は俺のやりたいようにやる。しかし、お前の仲間は容赦ないな。奴は戦乙女を倒したぞ。跡形もなくな…」
その言葉に動揺の目が現れる。デュークは好機とばかりに言葉をまくしあげる。
「結局助けられなかったな。所詮無理だったんだよ、そんな夢物語は。」
「う、嘘だ。優樹さんは僕の約束を守ってくれます、必ず」
「無理だな。貴様はもう終わりだ。」
「何を!…ぐあああ!!」
いきなりどこからともなく攻撃を受けてリルートに戻ってしまい、倒れたところを押えられ剣を突き付けられる。
相手はレイアであった。
「デューク様を傷つけるものは容赦しません。死んでください。」
暗い笑顔と共に剣はリルートに突き立てられようとした。

しかし、突如起こった爆風にその場を凌げた。砂塵が舞い天井は抜けて、もはや城は廃墟と化した。それを実行した張本人が床に立ちつくし、リルートに寄って起こし上げる。
「大丈夫か?周希」
そこにいたのはグングニルを肩に担いだリアクトであった。後方にはマジレンジャーたちもいる。
「優樹さん…」
リルートは一瞬喜んだが俯き、暗くなる。
「あ、あのアリーヤさんを殺してしまったんでしょうか?」
さきほどのデュークの言葉を気にしていた周希。本当に優樹がやってしまったのが心配になってしまった。
「安心しろ無事だ。それに言ったはずだぞ。俺を信じろと。」
「そ、そうですよねえ。ごめんなさい…」
「かまわない、今は奴を倒すぞ。」
「貴様ら、俺の邪魔ばかりするとは許せん。」
砂塵が消えるとそこにはデュークが剣を持ち立っていた。そして彼の前にはフェンリル、フレイア、スクルド、レイアの姿が。彼女らはそれぞれの武器を持ち待ち構えていた。
「これ以上好き勝手にはやらせん。ゆけ!」
デュークが言い放つとレイア達は武器を構え攻撃を仕掛けてくる。だがマジレンジャーが行く手を阻み、戦っていく。
「それはこっちの台詞だ。周希、これを使ってから攻撃しろ。」
そう言い、渡された一枚のカード。リルートはすぐに装填する。
≪アタックライド…ジルマ・マジ・マジーネ≫
リルートにも先ほどのリアクトと同じく光が包み体に吸収されていく。
「これは一体?」
「ちょっとしたおまじないだ。後でわかる。行くぞ!」
≪アタックライド…スラッシャー≫
リアクトはそれだけ言い放つと一気にマジレジャーの加勢に入るために駆けていく。
リルートも戦闘に入り、混戦状態に入る。
ある程度攻撃を加えるとリアクトとリルートは隙を付き、カードを装填する。
≪ファイナルアタックライド…リ・リ・リ・リアクト≫
≪ファイナルアタックライド…リ・リ・リ・リルート≫
リアクトキックとリアクトシューティングが発動され、2人の必殺技がフェンリルスクルド、フレイアに直撃して爆散する。
そして再びリアクトの手には2枚のカードが握られる。それをリルートに渡すと、リルートは驚きの声を上げる。そして、やっと彼の言葉を心から納得できるようになった。


「き、貴様らよくも!」
デュークからは憎悪のオーラが放出される。そして彼の体に変化が起こる。身体は赤くなり人とはかけ離れた体型になる。
「それがお前の切り札か。だが俺たちには勝てない。ここからが本番だ。」
デュークのビースト形態に初めから知っていたかのように振舞うとカードを装填する。
≪ヒーローライド…ブルービート≫
前の世界では変身したが今回は召喚されたブルビート。
そしてリアクトの手には新たなカードが握られ、それを差し込む。
≪ファイナルフォームライド…ビ・ビ・ビ・ビーファイター
「すぐに慣れる」
そうリアクトは言うとブルービートの背中を押す。するとブルービートは超絶変形してカブトムシ型6輪装甲車・ブルービートルーダーへ姿を変えた。
「な、なんだと!?」
「い、一体?」
「す、すごい」
リアクトの力に驚く3人。その中でリルートは、
「そういうことなら、これでも!」
とリルートも一枚のカードを取り出し、差し込む。
≪ファイナルフォームライド…マ・マ・マ・マジレンジャー
「我慢してください。」
リルートは4人の戦士に銃弾を撃ち込む。すると4人は超絶変形して合体し、マジドラゴンへと姿を変える。そして2人はそれぞれ乗り込み攻撃していく。
「はああああああ!!」
リアクトはブルービートルーダーの上に乗りデュークを蹴散らしギャザーブッカーで攻撃していく。
「行けえええええ!!」
リルートはマジドラゴンの火炎攻撃と自分の銃撃でレイアを翻弄する。
そして敵が乱れてきたところでカードを装填。
≪ファイナルアタックライド…ビ・ビ・ビ・ビーファイター
≪ファイナルアタックライド…マ・マ・マ・マジレンジャー
「はあああああッッ!!」
マジドラゴンの火炎弾とリルートのリルートシュートが混ざった攻撃・リルートバーニングがレイアに直撃、
「デュ、デューク様ッ!!」
最後まで快楽の虜に誘った主の名を叫び爆散した。

リアクトはブルービートルーダーを最大加速で走り出し、一気にデュークに突進を仕掛ける、
「どりゃああああああッッ!!」
リアクトホーンを繰り出し、盛大に吹き飛ぶデューク。壁に激突し、そして元の人の姿に戻る。
しかしそれでも立ち上がり剣を振るいリアクトに挑む。ほぼ力を失ったデュークはのろく簡単にはじかれ、リアクトの刃が心臓を突き抜ける。と共にデュークは血を吐き、リアクトが剣を抜くと倒れ込んだ。


デュークの息はさえずり程度しか聞こえない。
リアクトはそんな彼を見下ろし呟く。
「冥土の土産だ、地獄へ行く前によく聞いておけ、戦乙女たちは死んでいない。とある魔法を使って魂を解放し、カードに封印という形で倒したように見せかけた。そして彼女たちから闇は消えまた人々を守護する立場になるだろう。」
それを聞いたデュークは小さく笑みを浮かべ、ゆっくり目を閉じ息絶えた。彼は「ほんとに救うとは抜け目のない奴だ」ということを小さな笑みで伝えたのだった…


廃墟では変身を解いた2人がカードの封印を解き、戦乙女たちを解放した。
アリーヤさん…」
「ありがとう、シュウキ。君のおかげで我々は救われた。そしてすまない、いくら堕ちていたとはいえ、君達に酷いことしてしまって…」
「いいんです。僕が望んだことですから、それに優樹さんに力を貸してもらい助かりましたし、僕だけの力じゃどうにもなりませんでしたよ。」
「逞しくなったな、シュウキ。どうだ、私たちと一緒にこの世界を守るというのは?」
周希はその言葉に少し考えたが、
「ごめんなさい。僕はただの旅人です。今はどの世界も危ないから戦ってるだけどいつか戦いが終わったらいろんな世界を回りたいんです。」
「そうか…、少し残念だが仕方ない。だがまたこの世界へ来るのを楽しみに待っているわ」
「はい!」

周希とアリーヤ笑顔で話す姿を遠くで眺めていた優樹であったが1人の戦乙女が近づく。
蒼穹の戦乙女、レイア…だったかな?」
「はい、この度はご迷惑をおかけしました。何とお礼をしたら…」
「構わない、この世界を救うことがどうやら俺の使命らしいからな…」
「そのことで、どうやって私たちは罪を償えばいいのでしょう?民を傷つけ、天界を壊滅状態まで追い込んでしまった私たちを…救世主のあなたなら…」
レイアの会話を割くように優樹は言う。
「俺は人を導くためにいるんじゃない。世界を救うためにいる。それにそう簡単に答えは見つからない。……でも見つかるまで時間はたっぷりあるそれまで迷えばいいさ。そう俺は思うよ…これは俺としての意見だけど」
静かに重みのある言葉を放ち彼女の返す言葉を与えないようにすぐに立ち去るのだった。


黒田書店に戻るとすぐに机に上半身うつ伏せになる優樹。
「疲れたぞ〜2つ目の世界でここまで労力を消費するってどんだけだよ…」
「お帰り、ついでにいうとカードの使用量も半端ないだろう?」
読書をし、紅茶をすする光明。
「ああとんでもねえぞ。たぶんカードなかったら俺即死んでるな…」
「まあな、今回は数が多すぎた。次の世界はどうなるんだろうな?」
「知るかよ、そんなの…ああ、先が思いやられる…」
「でもいいじゃないですか!僕という友達もできたことですし。」
「嗚呼、よかったよ、お前というと……いつの間にいたんだよ!」
顔を上げ声が聞こえたほうを向くとそこにはいつの間にか帰ってきた周希がいた。
「ええっと、ほんの数十秒前だよ。」
「恐ろしい…お前」
「褒めても何も出ないですよ…」
「いや褒めてないから…はあ…」
優樹がため息をつくと同時に天井の絵柄が変わる。
「凄いですね、天井の絵柄が変わった。」
無邪気に喜ぶ周希をしり目に優樹は天井の絵を見つめた。
「次の世界は……」


続く。

次回予告
「君にこれ以上救われては困るんだ。非常に」
「たしかに物語には終りがある……だがこれは間違ってる。」
「お父様ごめんなさい……ジャンヌは……」
「よ〜く分かった、貴様を倒す。」
「ジャンヌ、お前は俺の家畜だ。」
「救世主だからさ、それがここにいる理由だ。」


第6話「人ならば…」


全てを救い、全てを修正(なお)せ!!