『姫騎士ジャンヌ』の世界を救った優樹たちは、次なる世界に来ていた。
「ようやく俺たちがいたような世界にこれたな」
優樹はそう呟き、周りを見渡す。
そこは高層ビルが立ち並ぶ都市の中心。
久しぶりに見る、見慣れた景色に安心する2人。
しかし、周希の顔はすぐれない。
その様子に優樹は考える。
(一体どうしたんだ?アイツとの戦いの後から周希の様子がおかしい。何か吹き込まれたのか)
「周希……」
優樹が事の真相を確かめようと話しかけた瞬間だった。
一気にビルが爆発したのは。

周りの人間は悲鳴を上げ逃げまどい、ビルが破片に押しつぶされぬように一目散に去っていく。
ビルの粉じんが舞い、煙が立ち込める中に不気味な姿をした、人間とも似つかない生物が姿を現す。
「この星は我々、『ダークヴォイド』が支配する! 人間ども、覚悟しろ!」
「ダークヴォイドだと?」
「そう我々エイリアンが、貴様たち人間を家畜として飼ってやるのだ! ありがたく思え! まずは見せしめにお前たちを血祭りにあげ、人間どもを従わせてやる。ハアッ!」
『ダークヴォイド』と名乗るエイリアンが優樹たちに攻撃をする。
優樹たちは、カードを取り出し、変身態勢に移ろうとした。
その時、目の前にポニーテールの赤髪をした少女が現れる。
「昇華!」
少女は言葉を発すると同時に、赤色の鎧を身にまとう。
宇宙刑事! ソルディバン!」
赤いコンバットスーツに身を包んだ少女は、『ソルディバン』と名乗り、エイリアンへ立ち向かってゆく。
そして、優樹は一言。
「ソルディバンの世界か」


世界の救世主リアクト、いくつもの世界を渡りその心は何を捉える?
第8話「正義の在りか」


ソルディバンは専用武器『ソーラフレアブレイド』を手にエイリアンを攻撃する。
エイリアンはそれを巧みにかわし、隙を突き、ソルディバンを倒そうとする。
しかし、ソルディバンはエイリアンの攻撃を見切り、カウンターを浴びせる。
怯むエイリアンにソルディバンはとどめを刺す。
「日輪輝きと共に、今必殺のソルディバン・プロミネンス!」
エイリアンは真っ二つに切り裂かれ、爆散する。
「抹殺完了。雑魚はやっぱ雑魚ね。……あら、一般人がいたようね。大丈夫?」
ソルディバンは、優樹たちに近づく。
しかし、ソルディバンの背後に新たなエイリアンが姿を現し、攻撃をしようとする。
「危ない!」
優樹はすぐさま状況に気付き、ソルディバンを抱きとめ、攻撃をかわす。
かわすとすぐに立ち上がり、ベルトを装着するし、カードを装填する。
周希もリルートドライバーにカードをセットする。
「「変身!」」

≪HERO RIDE……REACT≫

≪HERO RIDE……REROUTE≫

2人は赤と紫、それぞれの鎧を身にまとい、リアクト、リルートに変身する。そのままエイリアンに攻撃を仕掛けてゆく。
「なんなの、あの2人?新しい宇宙刑事?」
いきなり2人が変身したことに、戸惑うソルディバン。
エイリアンも同じでいきなり2人が変身し、攻撃を受け、反撃できない。
2人はエイリアンを追い詰めとどめの攻撃に移るためにカードを装填する。

≪FINAL ATTACK RIDE……RE・RE・RE・REACT≫

≪FINAL ATTACK RIDE……RE・RE・RE・REROUTE≫

リアクトの飛び蹴り、『ディメンションプレッシャー』とリルートの高出力バースト、『リルートバニッシャー』が発動され、互いの必殺技がエイリアンに命中し消滅する。
「貴方たちは何者?宇宙刑事なの?」
「ただの救世主だ。気にするな」
平然と答えるリアクトに、唖然とするソルディバン。彼女はバカにされてると思い、
「あたしをバカにしてるのね……いい度胸ね、覚悟しない!」
彼女は怒りをあらわにし、リアクトヘ攻撃を仕掛けてくる。
「お前は、子供か! 短気は損気だぞ!」
「また私をバカにした! 許さないわ!」
ソルディバンの攻撃に防御に徹するリアクト。
「えっ!?あっ、あ……ど、どうしよう?」
リルートはいきなりの出来事にオロオロするばかり
リアクトは隙を突き、攻撃を跳ね返すとすぐにカードを取り出す。
「少し黙らせるしかないか……宇宙刑事には宇宙刑事だ! 蒸着!」
≪HERO RIDE……GYABAN≫

カードを装填するとリアクトは銀色のメタルスーツを身にまとう。
宇宙刑事ギャバン』は、「宇宙犯罪組織マクー」の手から地球を守るために、バード星に本拠を置く銀河連邦警察より派遣された地球担当の宇宙刑事である。
ギャバンに変身したリアクトはギャザーブッカー剣撃形態でソルディバンの攻撃を防ぎ、攻撃していく。剣と剣がぶつかり合いながら一進一退の攻防が続く。
しかし、Rギャバンは徐々に相手を見切り、攻撃を加えていく。
押されるソルディバン。
そして、ソルディバンの手からソーラフレアブレイドが離れる。
ギャザーブッカーを喉元に突きつけられる。
「勝負はついたな……」
「くっ……」
ソルディバンはもはや、反撃の術もなく降参するしかなかった。
「そこまでです、2人とも」
いつの間に現れたのか、後ろ髪が腰よりも長く、肌色のブレザーの学生服を着た少女が、近くにいた。
「はるかちゃん、また怒って暴走したでしょ。いつもだめって言ってるでしょ」
ゆっくりとした口調で彼女を諌める少女。
ソルディバンは変身を解き、学生服に身を包んだ姿に戻る。
リアクトたちも変身を解く。
「私は海崎レイナ。それでこっちが空城ハルカちゃんです」
さきほどまで戦闘してたのにもかかわらずのんびりと自己紹介を始めるレイナ。
一方のハルカは先ほどの戦いで恥をかき、レイナに怒られ、拗ねるようにそっぽ向き、一言も話さなかった。
それに2人は戸惑いながらも周希が答える。
「ええっと、僕は永井周希。こっちが高上優樹。僕のお友達です」
レイナと周希の空気がどちらも似ているなと優樹は感じた。
(どっちも天然だからか……)
優樹はそうやって納得した。
「あなた方の戦闘は拝見させていただきました。私たちの司令官があなた方に会いたいと希望してるのですが、来ていただけますか?」
やっと本題に入り、優樹は問いに頷くと
「わかった。こちらの世界のことを、少しでも知っておかないと、いけないからな」
「ありがとうございます。では参りましょう」


今までの様子を一部始終見ていた青年がいた。
「ちっ、厄介な奴らが増えたな……まあいい、計画は今まで通り進めていけば良い」
そう呟くと青年は暗い物影へと姿を消した。


優樹たちは大きな基地に連れてこられていた。
そして司令部らしき部屋に案内され、入室するとそこで一人の女性に迎え入れられた。
「どうも、私は銀河連邦警察・地球支部司令官の観園エミリをよろしく」
「俺は高上優樹。それでこれが永井周希だ」
「これってなんですか?これって……」
周希は受け応えに不満があり、頬を膨らませる。
「冗談だ。……でその銀河なんたらがのお偉いさんが何の用だ?」
「銀河連邦警察よ。さっきの戦闘を見た限り、あなた達はこの星の者ではなさそうね。いったい何が目的でこの星の来たの? それにあの力は何? 一見、ソルディバンと同じかと思えたけど、姿が変わるのは今までに見たことがないわ」
エミリは一気に彼らに疑問をぶつける。
「話すと長いし、信じてもらえないかもしれないが構わないか?」
ここで話さなければ、きっと牢獄か、ハルカとかいう奴とまた戦うはめになりそうだと感じた優樹は今までのことをざっくばらんに話した。
「そう、あなた達は別の世界からやってきたの……」
「ああ、そうだ。信じてくれるか?」
「あの力を見たら信じるほかなさそうね。……そうだ、しばらくこの世界にいるのなら、私たちの手伝いをしてくれないかしら?」
エミリはそう切り出すと、この世界について話し始めた。
まとめてみると、地球は地球は十年の準備期間ののちに連邦へ加盟する事になる。
種族を代表する宇宙刑事の『正義のメンタリティ』が、『銀河連邦に所属する知的生命体の正義の理念総体』とあまりにも 
かけ離れたものになった時、準備期間中の地球人類の銀河連邦加盟は、白紙に戻される。
地球は、星間犯罪者たちが思うがままに暗躍することができる宇宙の無法地帯となってしまう。
そのためにエミリはハルカとレイナが敵に倒されぬよう、優樹たちに頼ってきたのだ。
もちろんOKを出した。
しかし、ハルカはそんなものは自分に必要ない、エイリアンは私1人で倒せると言い放ち、司令部を去って行った。

入れ違いざまに一人の青年が入ってくる。
優樹はその少年を訝しげに見つめる。
「あ、あの、俺の顔になんか付いてます?」
青年は少し引き気味に言う。
「いや、匂いが……」
「匂い……?」
青年は首をかしげる。優樹は目を離し考えていた。
周希が青年に謝る。
「すいません。根はやさしいんですけど、こういう態度しか取れない人なんで」
「構いません。あっ、まだ自己紹介してませんでした。俺、星野光一郎っていいます」
「僕は永井周希です。それでこれが高上優樹さんです、よろしく」
さっきの仕返しとばかりの自己紹介をした周希であったが、優樹はそれ無視し考えていた。
微妙な空気なったのですぐに周希が話題を変えた。
「光一郎さんも宇宙刑事なんですか?」
「いや、俺はハルカさんのサポート係で、ちょっとした事があってここに居させてもらってるんです。」
彼は笑顔でそう答える。よっぽどここにいるのが楽しいようだ。

その時だった基地内でアラームが鳴り響く。
「ダークヴォイド出現、繰り返すダークヴォイド出現。ただちに銀河連邦特務捜査官は出動せよ。繰り返す……」
アナウンスが基地内に響き渡る。
「敵のお出ましか、行くぞ! 周希」
優樹はそう言いきると部屋を後にする。周希もすぐにあとを追う。
「それじゃあ、行ってきます」
「頑張ってください」
光一郎は笑顔で彼らを見送った。


彼らを見送った後、光一郎は無表情になり、唇の端を吊り上げた。
まるで悪魔が憑依した様な不気味な表情で、彼は静かに呟いた。
「ついにこの時が来た……宇宙刑事の最期が……」


「「変身!」」

≪HERO RIDE……REACT≫

≪HERO RIDE……REROUTE≫


「「昇華!」」
優樹、周希、ハルカ、レイナはそれぞれリアクト、リルート、ソルディバン、ルナリオンに変身し、多数のエイリアンを相手に戦いを挑んだ。
「数が多い……いきなりなぜ?」
ルナリオンは今まで体験したことのないような敵の数に驚きを隠せない。
「でもやるしかなでしょう!」
ソルディバンはそう切り出し、次々とエイリアンを蹴散らしていく。
「ええ!」
ルナリオンもそれに賛成し、2丁拳銃でエイリアンを撃ち倒していく。
「少し嫌な予感がするが、仕方ない」
リアクトはギャザーブッカーの銃撃形態でエイリアンを撃ち抜いていく。
「いきなり大量に出現するには何かわけがあるはずです、気をつけないと」
リルートは敵に囲まれながらも的確にエイリアンを撃ち、間合いを取る。


いきなり青白いのオーロラが姿を現し中から銀色の髪の青年が出てくる。
「あいつ、また性懲りもなく俺たちの邪魔をしに来たのか?」
「ええ、そうですよ。あなた救済の旅はここで終わりです。あなたの救いは無駄なそのもの私が排除します」
銀色の髪の青年は微笑を浮かべながらリアクトに近づく。
「なぜだ? なぜそう言い切れる?」
周りのエイリアンを撃ち飛ばしながら銀色の髪の少年を問いただすリアクト。
「簡単ですよ。あなたがハッピーエンドに仕上げた物語は、バッドエンドがただ伸びたにすぎないのですから。バッドエンドの物語は決してハッピーエンドにはなれないのです! これは定められた、謂わば運命なのです!」
観衆の前で演説するかのように高らかに主張する青年。
「そんなことをあってたまるかよ!」
反発するかのようにリアクトは周りの敵を一気に撃ち抜く。
「だから君には無駄なことはもうやめてこの世界で旅を終えるのです。今度こそさようならリアクト」
そう言い残しさる銀色の髪の青年。
かわりにオーロラから姿を現したのは黒いマントに、黒い鎧。
禍々しいほどのオーラを出しはなっていた。
手には棒状の器具を持っていた。
「わが名はダースベイダー。シスの暗黒卿……」
「毎回、毎回ロクなまねをしない!」
優樹はそう叫ぶとすぐにカードを装填する。
≪HERO RIDE……GYABAN≫

宇宙刑事ギャバンになりダースベイダーに挑む。
ギャザーブッカーを剣に変え切り裂こうとしたが、棒状の器具が起動すると先端に長さ1メートル程の光り輝く刀身が生成し攻撃を塞ぎ、逆に切り裂かされそうになる。
「なに!レーザーソードだと!?」
なんとかRギャバンは攻撃を食い止めたがダースベイダーの猛威に焦りだす。
「レーザーにはレーザーか」
ダースベイダーが向かってくるのを何とか防ぎ、その間にカードを装填。

≪ATTACK RIDE……LASER BLADE≫
Rギャバンの手から光の剣が生成され、互いの刀身が火花を散らす。
「はああああっ!」
二刀流でダースベイダーを責める。隙を突き左腕を切り落とす。
ダースベイダーはそこで間合いを空け、現れた青白いオーロラへ入った。
「ちっ、逃げたか」
あたりを見回すとほとんどのエイリアンは倒され後1体をソルディバンが倒したところだった。
しかし、背後には無表情のルナリオンの姿が。
直感的にまずいと感じ攻撃を加えようとするが、潜んでいたエイリアンに攻撃を妨げられる。


「ねえソルディバン、一緒に悪に堕ちない?」
ルナリオンが背後でふとつぶやく。
「えっ?」
気付いた時には既に遅く首に激痛が走り気絶した。

「レイナさん! いったい何を!」
駆け付けたリルートであったがソルディバンを盾にされ迂闊に攻撃できない。
「フフフッ、とても楽しいことですよ。」
そう言い残し去っていくルナリオン。
なにも出来ずにその場に立ち尽くリルート。
「周希! あいつらは!」
「僕は……また助けることができませんでした」
リルートは膝から崩れ落ちる。前の世界でも戦乙女を救えず、今回もまた救えなかったことに彼は絶望に打ちひしがれた。
「くそっ!」
2人の嘆きが、荒れ果てた街に虚しく響くのであった。


……続く

次回予告
テラー「さあ、この星はついに我々のものとなる」
ブラックソルディバン「あなたも快楽へ堕ちましょう」
リアクト「人は弱い……だけどそれでも戦わなきゃないんだよ!」
リルート「優樹さん……お別れです」
???「この物語と共に終焉を迎えてください、リアクト」
第9話「日輪の輝きと共に」

全てを救い、全てを修正(なお)せ!!