――これまでの「世界の救世主リアクト」は……
新たな世界に飛ばされた優樹たち一行。
彼らが飛ばされた世界は犯罪者エイリアンギルド『ダークヴォイド』が地球を支配しようと暗躍してた。
宇宙刑事や司令官観園(みその)エミリの説得により彼らはエイリアンたちと戦うことを決意する。
しかし、宇宙刑事の一人、ルナリオンが裏切り、もう一人の宇宙刑事ソルディバンを捕え連れ去るのだった……


優樹たちはなんとかエイリアンたちを退き、一旦黒田書店へ身を休める事にした。
彼らが戻れば、まだ内部に裏切り者がいて罠に陥る可能性があると優樹が判断したためだ。
また、ソルディバン(ハルカ)を救えなかったことに動揺し正気を半ば失っている周希を落ち着かせるためにもこの場所が最善だと思えたからだ。
二人は戻ってきて早々に席に着く。
黒田書店の主、黒田光明は周希の様子に怪訝な顔を浮かべるが、どうしたか口に出さず、手に持っていた本を開き読み始める。
「くそっ、あのレイナ(ルナリオン)がエイリアンたちの手先だったなんてっ!あの男だけに疑念を向けていて気がつかなかった!」
悲痛な面持ちでテーブルを殴り、無情に打撃音が部屋に木霊す。
「僕が悪いんです。あの時もっと注意していれば……」
少し落ち着いたのか正気を取り戻し小さな声で呟く周希。
未だ落胆の表情は消えない。
「お前のせいじゃない!悪いのは卑劣な手を考えるクソエイリアンどもだ。正義の味方を悪堕ちさせやがってただじゃおかねえ!」
優樹は彼の言葉に反論し、そして乱暴な言葉で毒づく。
優樹の言葉からは怒りが沸々と伝わってくるのが分かる。
「ハルカもハルカだ。何が宇宙刑事だ。まんまと捕まりやがって。ヒロインの立場じゃわかるがあいつは宇宙刑事だろうが……」
優樹はなおも言葉を発し、ハルカについて語る。
「あいつは正義を分かっちゃいない。ただ敵と戦って倒すだけが正義だと勘違いしてやがる」
「じゃあ優樹。お前はどうする?」
光明(みつあき)は本を読みながら尋ねる。
「決まっている。あいつに本当の正義を叩き込んでやる!」
優樹は意気揚々と答える。
「なぜお前はそこまでして『正義』にこだわる?」
今までの世界でもそうだが彼は正義に少なからずこだわる場面を見せていた。まるでそれを昔から親しんでいたかのように。
「分からない……だが俺は俺の正義を貫きたい。そうすれば俺の記憶や何かが分かるかもしれないからだ」
「己の直感を信じるか……その直感が功を奏すことを信じるよ。で、これからどうでる?」
「奴らは地球を支配することが目的だ。だから」
「この地球を守る組織『銀河連邦警察』地球支部を鎮圧するということか……勇気にしては上出来な考えだ」
「うるせえっ!とにかく俺は救う。俺の正義を信じてな」
本を読みながらさらっと毒舌を吐く光明に対し、すかさず優樹は反論しすぐに店を出ていく。
「本当に突っ走るタイプだな、あいつは。……それで君はどうする永井君」
未だ落胆の表情を浮かべ俯きながら手に持ったコーヒーカップを見つめる。
「今の僕には彼のようにできる勇気がありません。……僕が疫病神なんでしょうかね?どうあがいても自分自身を、周りを不幸にするのだから」
そう言って周希は立ち上がり、店を出て行こうとする。
「どこへ行く?」
本を読むのをやめ光明はじっと周希の瞳を見つめる。
「散歩です。気分転換に……じゃあ」
そう言い残し静かに扉を閉めて立ち去る周希。
光明は先ほどの彼の姿をみて感じたことがあった。
(優樹、お前の正義はそのまま貫けばいい……だがお前は仲間を作った、作ってしまった。仲間というモノをお前はまだしっかり受け止められていない……このままでは永井君は闇に……いやもうすでに手遅れかもしれない)
光明はそう考えながらも口に出さず行動にも出ない。彼にも彼なりに理由があるからだ。
このもどかしい思いを静かに胸に秘め再び本へ目を向け読書に耽るのであった。


世界の救世主リアクト、いくつもの世界を渡りその心は何を捉える?
第9話「日輪の輝きと共に」


優樹は全速力でバイクで道路をひた走る。向かうは銀河連邦警察地球支部
しかし、その道を阻むように青白いオーロラが突如として姿を現す。
すかさず急ブレーキをして横向けになりながらバイクを止める優樹。
青白いオーロラからは黒いアーマーとマントを身にまとった者が現れる。
独特の呼吸音が彼のマスクから漏れる。
それはハルカがさらわれた時に優樹と戦っていた相手、ダースベイダーであった。
優樹と戦って切り落とされた腕も直されている。
「貴様を倒す……それが今の私の使命だ!」
ダースベイダーはそう呟くとすかさずライトセイバーを刀身を展開させ、赤く発光しながら優樹へ迫ってくる。
優樹はメットを取り、バイクから降りる。
「それはできないな、俺には伝えなきゃいけないことがある!変身!」
≪HERO RIDE……REACT≫
バックルにカードを装填させ回転させる。
優樹の身体は深紅のボディアーマーに包まれる。
変身完了した直後にすかさずカードホルダーからカードを取り出しベルトに差し込む。
≪ATTACK RIDE……SLASHER≫
カードホルダーのギャザーブッカーは剣形態になり振り上げられたライトセイバーを受け止める。
互いの刃が交わったことにより火花が盛大に舞う。
ここから一進一退の攻防が繰り広げられる。
互いに触れるのは刃のみ。中々相手にヒットを与えられずにいる。
業を煮やしたのかリアクトは刃をぶつけ合い反動で大きく間合いを開かせる。
それと同時に新たにカードを装填。
「今度こそ切り開かせろよ、赤射!」
≪HERO RIDE……SHARIBAN≫
一瞬のうちにリアクトは変身し赤いメタルアーマーを身に纏う。
ギャバンにも似た風貌持つその姿。
宇宙刑事シャリバン」、幻夢界と呼ばれる異次元空間に浮かぶ幻夢城を拠点に、全銀河の征服を企む巨大な宇宙犯罪組織「宇宙犯罪組織マドー」と戦った戦士である。
≪ATTACK RIDE……LASER BLADE≫
次にRシャリバンはレーザーブレードを召喚させ青く光る刀身をダースベイダーに向ける。
再び戦闘状態に入り剣と剣がぶつかり合う。
ダースベイダーは横にライトセイバーを振るがRシャリバンはすぐにそれをレーザーブレードで塞ぎ、重心を前に置いて相手の剣をはじく。その間に上段から切りつけるが予測していたかの如くかわされる。
「フォースの力を舐めるな!」
「くっ、全然当たんねえ!」
前回と違い、相手に痛手を負わせることができないRシャリバン。それでも相手のモーションを読みどうにか対等に戦う。
それでもこのまま長期化すれば分が悪い。
互いに剣を交えながら隙をつきカードを取り出しバックルへ差し込む。
「これならどうだ!フっ!焼結!」
≪HERO RIDE……SHAIDAR≫
再び変身し次は青いメタルアーマーのボディを身に纏う。
レーザーソードも形状変える。
その姿は「宇宙刑事シャイダー」。
大軍団で全銀河の征服を企む、暗黒宇宙最大にして最悪の宇宙犯罪組織不思議界フーマに挑んだ偉大なる宇宙刑事である。
「ちょこまかと姿を変えて鬱陶しい!」
ダースベイダーはなおも果敢にRシャイダーに切り裂いてくる。
相手の剣を受け止め、後ろへ引き下がるRシャイダー
そのまま剣を振る。
「くっ、何を!」
ダースベイダーはすかさずライトセイバーで防御態勢を取る。
振り払われた刀身は鞭状に変形し、伸ばされた刀身はライトセイバーに当たり火花を散らす。
鞭状になったレーザーブレードを振りまわしながら敵を翻弄していく。
しかし未だダースベイダーに有効な一撃を加えられない。
Rシャイダーは一撃を与えるために腰のギャザーブッカーを銃撃形態に変形させ。
高出力のエネルギー弾をダースベイダーに撃ちこむ。
ダースベイダーはさすがに二つの攻撃についていけず、鞭状のレーザーブレードにボディを当てられてしまう。黒いボディは火花を散らし、身体は地面にひれ伏す。
そこでチャンスとばかりにRシャイダーはカードを差し込む。

≪FINAL ATTACK RIDE……SHA・SHA・SHA・SHAIDER≫

レーザーブレードで敵を左から右へ真一文字に切り裂く必殺技、シャイダー・ブルーフラッシュを発動させる。
ダースベイダーはよろよろと立ちあがったところをRシャイダーの必殺技を受け横に真っ二つに切り裂かれる。
そして雄叫びを上げながら爆散するのであった。
元の姿に戻るリアクトはすぐさまバイクにまたがり目的地へと急いで向かうのであった。


後篇へ続く。