世界の救世主リアクト
第9話「日輪の輝きと共に」後編パート1


『銀河連邦警察』地球支部
観園エミリはエイリアンたちに囲まれていた。
「……してやられたわ。まさかあなたが黒幕だったなんて」
エイリアンに囲まれてもなお威厳を保ちながら話す。
「ああ、そうだろうな。まさか地球人に乗り移っているとは誰も思わないからな」
話している人物は星野光一郎であった。
その声は低く、容姿に合わぬ声で話しかけていた。
「そして、二人の宇宙刑事を罠に嵌めた。見事に引っかかってくれたよ。変なやつらが現れたが、あの二人に我をとめられることは出来ない。」
今までの作戦が上手く行っているためか、余裕の表情を浮かべる光一郎。
「あなたは一体……?」
「我が名はテラー。さあ、この星はついに我々のものとなる!」
高らかに叫び、周りのエイリアンたちも雄叫びを上げる。
そして光一郎に憑依したテラーの後ろには静かにたたずむコンバットスーツを身にまとった少女が二人。
「この宇宙刑事の力を使えば、あらゆる星を我が物に出来る。まさに神に等しい力。フフフっ、フハハハハハ!!」
観園はその光景に息を呑み、ただ唖然とエイリアンたちを眺めることしか出来なかった。


永井周希は閑散とした街を歩いていた。
人は皆、エイリアンを恐れて非難している。
そのため街はゴーストタウンと化していた。
しかし、周希はその光景に目もくれず、虚ろにただ街を歩く。
(一体僕はこれからどうすればいいのだろう?)
そばにいた人を救えなかった事に絶望し、自分の存在意義を見失い、ただ歩を進めている周希。
その時、彼の道の先に一人の青年が周希の元へ歩を進めるように歩いてきた。
周希は人の存在に気づき目の前へ目を向けて、立ち止まる。
彼の目の前には何度も優樹に立ちはだかった相手、銀色の髪の青年であった。
周希は警戒心を強めながら相手にたずねる。
「あなたがどうしてここに?」
「戦うことを恐れてしまいましたか?」
「なっ!?」
周希は自分が思っていることは見事に見抜かれ言葉に詰まる。
「君は優しすぎるのです。何事にも自分が悪いことをしてしまったと感じる。しかし、それは違うんです。君のそばにいる疫病神が元凶なのです」
銀色の髪の青年は諭すように言葉を紡ぐ。
「優樹さんが……」
「ええ、彼の存在自体がすべての世界を不幸にさせる。そうして不幸になるの者たちを君は彼の傍で目撃する。」
「そ、そんなこと……」
「そんなことないと言い切れますか?君もわかっているはずです。何人も悪の手に落ちた者を。すべて彼がもたらすのです。」
確かにどの世界でも悪に屈した者を見てきた。そのどれもに優樹が関わっている。
彼は世界の救世主ではなく、銀色の髪の青年の言うとおり疫病神なのか……。
そんな思いが頭の中を駆け巡り始める。
「……私と一緒に来なさい。そうすれば世界を救える。あの疫病神を倒せばすべてを」
「優樹さんを倒す……」
「ええ、君の力で倒すのです。これ以上彼の犠牲者を増やさないために……行きなさい」
そう言うと銀色の髪の青年はいつの間にか現れた青白いオーロラを指差す。
周希はすでに歩き始めていた。新たな使命を宿し、自分で決意する。
優樹と戦いすべてを終わらそうと……
そうして青白いオーロラへと包まれる。
「優樹さん……お別れです」
オーロラへ包まれる前に一言呟くのだった。


周希が去った後に残った銀色の髪の青年は空を見上げ独り言を話す。
「あのツールを捨てたところで意味はないのです。もっと有効利用しなければ……せいぜい利用させてもらいますよ、世界の守護者、リルート……」
どんよりとした曇り空を見上げ不適に笑みを浮かべるのであった。



パート2へ続く。