特に何もないから最終兵器の短編を紹介。



第○○話「明日という未来のために」


 G・E・Tは母艦で作戦会議をしていた。
「ではこれからコブラ攻略作戦の概要を説明をする。」
 とキンジョウ大佐が言った。
「でもコブラとは一体どういう意味ですか?」
 とナイトレイダーの西条副隊長が質問する。
コブラとは、J・B・Tの中でも優れた者達の集団ということが現段階で情報を入手している。そのためまずそこを最初に叩く。今極秘裏に特殊部隊が軍上層部の拘束作戦を展開している。それに合わせての作戦だ。なお向こうの指揮官は石室コマンダーが任についている。」
「あの人は精神、肉体共に優秀な人だ。あの人にぴったりの役だな。」
 と大泉隊長が納得したように言う。
「…それで作戦の展開する場所は何処なんですか?」
 とコウイチ中佐が質問する。
「…北海道だ。コブラが再び攻撃するとしたらあそこしかないだろう。」
北海道の無残な状況を知っているキンジョウ大佐は静かに答える。
「そんな!あんまりですよ。どれほどめちゃくちゃにしたら気が済むんだ!あいつらは!」
 と大泉隊長は怒りに震えていた。
「落ち着いてください隊長。だったら僕たちがこれ以上被害を増やさないようにすればいい。ね?そうでしょ隊長?」
 と日向隊員がなだめに入る。
「ああ。全て叩き潰してやる。やつらにこれ以上の攻撃をさせないようにしていく。」
 大泉隊長はだんだん落ち着き始める。怒るのも無理はないだろう。彼は北海道出身者なのだから。自分の故郷が破壊されてゆくのを黙って見ていられる訳がないのだ。
「だけどもうひとつあるんですよね。大佐?敵の目的が何なのか」
 とコウイチが意味深に問いかける。
「ああ。やつらのもうひとつの目的は…ちせの破壊だ。」
全員がざわめきだす。
「やはりそうですか。それでちせが出て行ったそうですが捜索の方はどうなっていますか?」
 コウイチが質問する。
「一時間前に軍に戻ってきたそうだ。今第1戦闘配備中らしいが詳しいことこっちに入ってきてはいない。」
「そうですか。シュウジ君の所にはある人を向かわせておきました。きっと彼の役に立ってくれるでしょう。」
 とコウイチは考えた表情をしたまま話す。
「同じ境遇の者同士なら話せると想っているのかね?」
 と番場壮吉が聞いてくる。
「ええ。信じています。ただ1人で立ち直ることができるかどうかですよ。そこまで俺たちは干渉しない。ただ彼には未来がある。ちせちゃんの事で引きずらないように話し合えといっただけですよ。」
 コウイチは迷っていた。
(果たしてこれで良かったのだろうかと。ちせちゃんはもう限界がきていることはだいたい見当がついていた。だからアレン教授にアレを頼んでおいた。
だけどもし彼女が早い段階にアレをしたら地球上から何も無くなってしまう。だがそれでも彼を愛しているのだというのなら止めるのを躊躇してしまうかもしれない。
愛とはそんなものだ。全てを敵に回してでも守ろうとする。きっとちせはそうしようとしているのだ。俺にはわかる。一回ミナを失ったのだから…。)

「そうか。私たちは自ら望んでサイボーグになった。しかし彼女は違う。自ら望んだ訳じゃない。だが彼女の願いは…」
「…強くなりたい。…でしたよね。」
「ああ。しかし彼女は間違った強さを手にしてしまった。そして自分の思いを隠して戦っている。彼女にはそれがとてつもない重みとなっているだろう。」
番場壮吉は静かに熱意のこもった声でしゃべる。
「ええ。だからあの時ちせは兵器へと変わってしまった。俺たちに何にも相談できずに…」
コウイチはだんだん目頭が熱くなるのを感じた。何で彼女が?なぜちせなんだ。それがどうしよもなく胸に伝わってくる。
「だがまだ彼女救うことができる。この戦いが終わったら、私たちで彼女を解放してあげよう。絶対に!」
番場壮吉の強い思いがみんなに伝わっていた
「はい。その準備も一応できています。」
コウイチは決心した顔で答える。
「うむ。それでこそ私が認めた戦士だ期待しているぞ。」
「ですがそれを決めるのは彼女自身です。何とか呼びかけてみましょう。みんなで!」
全員が頷いた。
「救出なら俺たちに任せておいてください。」
ゴーゴーファイブのマトイが言う。
「よっしゃぁ!久しぶりに全開のネバギバだっぜ!」
ガオレンジャーの牛込が言う。
「そしてコブラから日本を守るんだ。お父さんと出会うためにも。みんなで」
風雄が言う。
「そうとなりゃあいっちょ派手にあばれまわるぜ!」
と翔太が調子よく言う。
「だから暴れたら駄目でしょ。被害は最小限に!って言ってるでしょ。」
隣でユカが言った。
「一々突っ込むなって。それくらいわかってるよ。」
「わかってない!」
といつものように言い合いになる。
「全く仲がいいんだか…」
「悪いのか分かりませんね。」
近くにいた、澪と真也が笑顔で言う。

ウルトラマンよ。どうか人類に力を貸してください。これは人類存亡に関わる事なんです。頼みます!」
とムサシが頭を下げる。
「私たちは、人類同士の戦いにはあまり介入しないようにしている。しかし私は戦士としてではなく地球の友として君達に手を貸そう。」とハヤタ隊員が言う。
「ありがとう。ウルトラマン。一緒に戦おう。コスモス。君も力を貸してくれるね?」
その答えにコスモプラックが反応する。
「これが再び地球の危機なら…。」
「俺たちは自分自身が破滅招来体にならないように戦う。そのための海の光と」
「大地の光さ。地球の危機なんだ。ガイアやアグルだって一緒に戦ってくれるさ。」
我夢と藤宮は互いに顔を合わせ頷きあう。
(そうだ。俺にはこんだけのすばらしい仲間たちがいる。地球が消滅するなんて事はさせちゃいけないんだ。例えそれが何であってもこの美しい地球はまだ続くんだ。終わらない平和と友情の絆を続かせるためにも!)

コウイチは決意した。
その時だった。
「北海道より通達!北上距離500にコブラ接近!数は・・・嘘っ!数は5000以上っ!」
「何!」
「時間を計算したところ一時間以内に北海道に到着します!」
オペレーターの敦子とジョジーがそれぞれ答える。
「ちっ!ついに来たか。予想より早い。総員第二戦闘配備!」
キンジョウは苦い顔をしながら言う。
それぞれが持ち場に着くためブリーフィングルームから出てゆく。しかしそれだけではなかった。
「えっ…!ち、ちせ発進しましたっ!単独行動のようです。」
敦子が驚いた声で言う。
「このままでは彼女が!ツルギ艦長!」
キンジョウが言い、ツルギ艦長が叫ぶ。
「ああ!神天王号緊急発進!目的地は北海道。最大船速で行く!」
「了解!」
(間に合ってくれよ。この地球を砂地にするのはまだ早すぎる。コウイチ、頼むぞ…。ちせを止めてあの青年に逢わせてやるんだ。弧門。お前も早くシュウジを連れて来てやってくれ。お前らならできる。頼んだぞ。)
そうキンジョウは思いながら部屋を後にするのだった…。

弧門はシュウジを探していた。
(もう町にはいないはずだから海岸の近くにいるはずだ。)
そう弧門は思いながら海岸線をひたすらバイクで走りぬいてゆく。
(彼とは一度でも話さなければならない。それが今の僕の役目だ。もう僕と同じ目に遭う人間を増やしちゃいけないんだ。それにちせに合わせてもう一度会話されるんだ。彼女を最後まで見ないで別れるなんて事は絶対にさせない!)
とその時誰かが海岸線を歩いていることに気付く。
シュウジ君!)
弧門はバイクを止め、海岸線へ走る。
シュウジ君!」
その声に気付くシュウジ
「確か弧門さんでしたっけ…。」
シュウジは少し暗い感じでいた。そして少し老け込んでしまっていると弧門はその時思った。
「ああ。よく覚えてくれていたね。確か2、3度君と会っているけど。」
「ええ。でも俺ちせから弧門さんの事聞いていたから…。」
「え?僕のことを?」
「はい…その自分の恋人が敵として現れて、結局…結局助けられな…かった…とても…悲し…いと、ちせが、…ちせが言ってたから…」
シュウジは泣くのを堪えているちせの事を思い出しているのだろう。弧門は彼が悲惨そうに見えてやりきれない思いがした。
「…少し話でもしようか。」
弧門は彼になんとしてでも伝えたいことがあった。
「はい…。」
シュウジはなんとか涙を堪える。
「君も知っているように僕は恋人を失った。それは僕にとってとても悲しい事だった。敵の操り人形にされその時僕は苦しんだ。彼女は…、リコはとても優しい女性だった。ちせちゃんも同じかもしれないんだ。リコと…リコは僕を庇って死んだ。それをちせちゃんがやろうとしているんだ。君を庇うために。」
「何のために…庇うんですか?」
シュウジは少し拗ねた顔になり聞く。
「自分の命とこの地球を犠牲にして君だけを救おうとしている。僕にはなんとなく分かる気がするんだ。君たちが最後に会って交わした内容が。この世界を終わらせる気なんだろ。ちせちゃんは…。」
「やっぱりおなじなんですね俺達。結局相手を助けられないまま自分だけ生き残るだけになるんです。でも俺はちせが…居なく…なることは…覚悟できていますから!」
とまた涙を堪えられなくなってきたシュウジ
しかし、いきなり弧門はシュウジを殴る。シュウジはその場に倒れる。
「何を言ってるんだっ!君はっ!まだ助けられる見込みがあるのにそう簡単に諦めていいのかっ!彼女は…君の事を思って自らを犠牲にしようとしているんだ!僕は本当失いたくなかった。だけどリコは僕を庇って死んだ。だけど最後にリコと会話することができた。リコは最後に笑顔を見せてくれた。だから僕はここまでやってこれたんだ。そして光の絆を受け継いだ。人々の笑顔を守り続けたいと思ったからだ。シュウジ君僕は君と同じにしてもらいたくはない。同じにしたくないんだ。まだチャンスはあるっ!コウイチや他の皆が頑張ってくれている。ちせちゃんを助けるために、だから諦めるなっ!」

弧門は自分の伝えたい事を言った。「諦めるなっ!」と。彼にとってその言葉はとても重要な、そして誇りを持てる言葉だった。手をさしだす弧門。その手を握るシュウジ
「一緒に行こう!ちせちゃんのところへ…そして君の口から話すんだ。どれほど好きかって事を…。」
シュウジは決心した顔に変わり、
「はい…ちせともう一度話してみます。…いや、話させて下さい。」
弧門は安堵した。だがこれからだ。まだ彼女の心の問題が残っている。だけどきっとこの2人なら…。
とその時パルスブレイカーから通信が入る。
「弧門、敵が出現したわ。1時間以内に北海道に到着するはすぐに戻ってきて。」
西条副隊長からの通信だった。
「了解すぐに戻ります。」
「それともう1つ。ちせが1人で出撃したわ。それを追って神天王号も発進した。」
「ほんとですか。分かりました。急いでそっちに向かいます。」
弧門は切迫した表情でバイクに向かう。
「さあ、シュウジ君乗るんだ。少しスピード出すけど我慢してくれよ。」
「はい!」
そして2人を乗せたバイクは急いで市街地へと向かった。そう決戦の場へ…。