きっとその偽りの力は崩壊するだろう…


 コウイチは艦に戻り、格納庫に入る。そこにはコウイチの姉、リエがいた。
「全く無茶して…大破しないだけ奇跡だけど…」
「…それで、俺はどう戦えばいい?奴を抑える事は俺しか出来ない」
「ええ。用意したわ。とっておきの奴を…」
格納庫がライトアップし目の前に真紅の期待が姿を現す。原型はアルティエムに似ていて、細部に金色が取り付けられている。


「AT-555アルティエムMk-2よ…元のアルティエムの約5倍の強さを発揮できるわ。」
「これが新たな機体…」
コウイチの目は輝いていた。
「それとカプリチオーソとテンペストーネのパイロットが判明したわ。」
リエは書類をコウイチに渡す。
「カプリチオーソパイロット、マティルド=ガードルード。21歳。階級は少佐。アキツカと同じ思想をもっといて、そのため結託したのではというのが軍の見解よ。」
「よく集めることが出来たね…こんな情報」
「まあね…この世界にいるといい伝手もあるのよ。それともう一人、マルティーヌ=タバサ。22歳。元新連邦軍パイロット…階級は大尉射撃の腕はかなりよ。…それで何よりこの娘、アキツカの恋人よ。」
「えっ!?そんな…奴は恋人を戦場にまで出してこの戦いに賭けてるのか?」
「そんな所ね。あの2人の連携は気をつけた方がいいわ。」
「これが戦争か…」
コウイチの顔が沈む
「そうよ…できれば私はこんな戦いにあなたを巻き込みたくは無かったけど…」
リエの表情が歪む。
「済まない…でも今俺ができることはこれくらいしかないから…だけど軍にいて答えが見つからなかった辞める…そしてきっと姉さんのところに戻ってきます。」
リエの表情は明るくなり
「…ええ。」


その時だった。
「リエさん!モチヅキ中尉が危険です!」
ユーナがあわてた表情で喋る。
「やっぱり一機じゃ…コウイチ?」
その場にコウイチの姿はなく、すでにコクピットに乗り込もうとした。コウイチはスピーカー越しに、
「行って来る」
と一言加え、発進位置へ着く。
「モチヅキ中尉が押されています。早く救援を…」
ユーナが通信で言う。
「了解…待ってろショウタ…そして…アキツカッ!」
「アルティエムMk-?、発進どうぞ!」
「コウイチ・マスダ…アルティエムMk-2…出るぞっ!!」
発進口から出撃し、ウイングを展開する。
そして真紅と金の混じった機体は青空へと飛び立った…


「…くっ。シャドーミラージュでも無理か…!」
ショウタは焦りを募らせる。
「だから言ってるだろ。こっちはその能力さえコピーできるって…」
ガデンツァの周りにはいくつものグランディオーソがいる。
「所詮コピー。力の差など歴然としている。マルティーヌ、止めを。」
「…ええ。」
テンペストーネの銃口がガデンツァに向けられる。ガデンツァは回避しようとするがグランディオーソの幻影に邪魔され身動きできない。そして引き金が引かれた


「ここまでか…!」
ショウタはとっさに目を閉じる。しかし爆発は起きず遠くで小爆発する音が聞こえる。
「ギリギリセーフ…かな?ショウタ…?」
懐かしい声に目を開ける。
「遅いじゃねーか。あと少しで危なかったんだぜ。」
「すまん。」
2人は微笑む。アルティエムは上空からビームハンドガンでテンペストーネのビーム砲を打ち抜き、ガデンツァの前でシールドを構えていた。
「…来たか。マスダ…貴様は俺の手で…」
アキツカは能力を解除し
アキツカ…お前は俺の手で…」
「倒すっ!!」
2人の声は重なり、戦場に怒号のように響き渡るのであった…