そうこれは光を照らす物語…
 

 「堕天使に祝福を…」


 そこは天使と悪魔のいる世界…しかし天使は魔王軍に攻められ没落していた…


 天使の恩恵を受けていた村も廃村と化していた…そこに一人の青年が現れる…


 一人の青年はとある飲み屋に入った…そこは少々荒れていて廃墟にも似ていたが店はやっていた。そしてカウンターでひっそりとしている老人に青年は近づく。
 「オレンジジュースを頼む…」
 「あいよ。あんた見かけない顔だね…どうしてこの村に来た…?」
老人は青年と目を合わさずそそくさとコップと飲み物を用意する。
 「光を…照らすためかな…?」
苦笑交じりに青年は言う。
 「何を言い出すかと思えば…もうここには何も残っちゃいないよ…光も希望も…」
老人は歪んだ顔をした。
 「いやただ天使が堕ちただけ…なら手を差し伸べて上させればいい」
青年は受け取ったコップを揺らしながら言う。
 「相手は悪魔だ…人間には何も出来ないよ…あんたほんとにここに何しに来たんだ…?野次馬ならもう2度と来ないことだ…他の奴らに殺されちまうぜ…」
苦笑交じりに老人は言う。
 「ならとっとと上に上がって手を差し伸べますか…間に合えばいいけど…」
青年はコップのなかを飲み干し立ち上がる。
 「おいおい…そんな冗談…なっ!」
いきなり地面が揺れ老人はテーブルに倒れる。
 「飛び立てないなら飛び立つ翼を与えればいい…」
青年はそういい残し外へ出た。外には巨大な白と金の機体がそびえたつ。そして老人も外に出て機体の姿を見て慄く。
 「一体あんた何者だい!!」
老人は震えた声で叫ぶ。
 「神の代官<ヴィギランス>…神に仕える者さ」
青年は機体に吸い込まれるように宙に浮き胴体部分で機体に吸収されるように消える。
 「か、神が現れたっていうのかい…!?」
老人は目を見開く。


 コクピット部分では青年が空へ目をやる。
 「さて、彼女達に祝福を与えることが出来るのだろうか…あの失楽園でやり直すことなど出来るのだろうか・・・?」
悲しき表情を浮かべる青年であったが、すぐに真剣な眼差しに変わり機体を動かす。
 「インティスト…あなたは神としてしかるべき対処を…俺は正義を貫く…」
そして白と金色の機体…インティストは大空へ飛び立つ。
 (待っていろ…魔王…貴様が与えた代償…代価として貴様を倒す…!)
そしてインティストは何処までを続くどす黒い雲を突き抜けるのであった…。


 …続く