1日目パートC


マスダはすぐに車に装備一式を乗せて、廃工場へ車を走らせていた。そこに無線で連絡が入る。

”チーフ。ビルの事件で犯人達を尋問したんですが…”

オオイシ・ヒデトシが連絡を入れる。

「ああ、それで吐いたのか?」

”はい、彼らはカードチップを奪うつもりだったそうです。”

「何のカードチップだ。」

”制御用のカードチップらしいです。主に軍事用のミサイルなどの。”

「となると奴らはミサイル攻撃のテロを仕組んでるって事になるのか?」

”ええ、結論から言えばそうなるでしょう。しかし、少し不自然な点があるんです。”

「何だ?」

”一体彼らどこからミサイルを調達するつもりなんでしょう?ここ一週間の軍事輸送データを見たんですけど、それほど輸送もないし、増しては警備が厳重で自衛隊などには侵入することが不可能です。”

「そうだな…だが時期に分かるかもしれない。今から奴らのアジトに突入し証拠と犯人を押さえる。」

”分かりました。もう少しこっちでもそれとなく調べておきます。”

「頼む。」

”それとあと少しで交代の時間です。この作戦が終わったら休んでください。あまり無理はしないで下さいよ”

マスダは苦笑を浮かべながら、

「片が付いたらな…」

そして車は目的地の近くへ着いたのだった。


その頃、桟橋に黒い車の列が走行していた。その車の中にスーツ姿の男がいた。

「ふふ…彼らはうまく陽動してくれると嬉しいですがね」

スーツ姿の男は微笑を浮かべながら川の流れを見つめていた。

「この日本もいずれ戦火に巻き込まれる…」

ふと小声で呟くのであった。


マスダは現場に着き装備を着け突入準備をしていた。熱源反応を調べたところ、7つがいた。それも視野にいれそして見取り図を開き各隊員に伝えていく。

「アルファチームは西側から突入。俺とベータチームは北側から。最後にガンマチームは南から。残りは周辺の警備。いいか。逃がすなよ。各員準備にかかれ。」

マスダが一通り伝え終わると隊員は散らばっていった。そしてマスダも自動小銃MP-5A4を取り出し、マガジンをはめスライドを引く。そして、暗闇の中静かに動き始めた。

インカムから各部隊の指示が飛び交う。

”アルファチーム配備完了”

”こちらガンマも完了”

「行くぞ…突入!!」

一斉に扉を抉じ開け、一気になだれるように隊員たちが突入していく。マスダのところにはすぐに2人見つけ、マスダはすぐに引き金を引く。2人は撃たれその場に倒れる。
マスダは奥に進む。他のところでも銃撃戦が鳴り響いている。陰から1人姿を現し、とっさにコンテナに隠れて銃弾をかわす。マスダはアドレナリンが放出されるのを感じながら相手の後ろに回り込み、べレッタエリートIAを構え突きつける。

「武器を捨てろ。」

マスダは威圧的態度を取り、相手に指示する。相手の男は銃を捨てる。すぐに他の隊員が来て、手錠をはめた。隊員は男を連れて行く。そして、インカムから通信が入る。

”アルファチーム重傷者が一人出ました。至急救急隊を。容疑者は1名射殺。もう一名を確保しました”

”ガンマチーム容疑者2名射殺。奥に入ったところ機器を発見。…なっ赤く点滅してる。”

マスダは直感した。爆弾だと…

「全員退却!すぐに倉庫から出ろ!」

マスダと隊員達は急いで出口へ走る。そして、マスダが出たと同時に倉庫内が爆発する。全員が地面に叩きつけられる。

「くっ…くそっ」

マスダは呼吸が出来ずに呻きながら喋った。膝立ちになり呼吸を整える。すぐにインカムに手をやり、

「…各部隊、現状を報告してくれ。」

”…アルファチーム、各員無事ですが、負傷してます。救護班をお願いします。”

”…ガンマ、中に2人取り残され多分この状態では救出は不可能かと…”

「ベータチーム、多少の負傷者を出しています。」

「くっ…こんな事になるとは…ちくしょうっ!!」

マスダは睨めつける様に倉庫の炎を見つめ続けた。


「作戦失敗のようです…。」

ウエノが伝える。

「分かってる…すぐに救護班を。消火班をよんで何とか証拠を掴め。」

ハナダは落胆した様子で映像を見つめていた。その映像には燃え盛る炎が倉庫を包んでいた。

「テログループ容疑者2名確保。移送します。」

「…くっ厄介な失態だな。」

「仕方ありません。今までこんなこと例を見ない事態でしたから。」

防衛省警察庁に警戒宣言を進言してくる。」

ハナダはそう言い残し、会議室を出て行った。